アークシステムは、2025年11月6日(木)~11月7日(金)に開催されたZabbix Conference Japan 2025にゴールドスポンサーおよびコーヒーブレイクスポンサーとして参加しました。今回で13回目の開催となったZabbix Conference Japanの様子をレポートいたします。

Zabbix Conference Japanとは?
Zabbix Japan LLCが主催する日本国内最大のZabbixイベントです。Zabbix Japan LLCによるテクニカル講演、Zabbixを利用しているユーザーによる導入・活用事例、パートナー企業によるZabbixをより便利にするソリューション紹介など、Zabbixに関して幅広いテーマで講演がおこなわれました。
当日のアジェンダおよび講演内容の詳細は、Zabbix Conference Japan 2025 公式サイトでご覧いただけます。
https://www.zabbix.com/jp/events/conference_japan_2025(外部サイトへ移動します)
Zabbixのグローバル戦略と最新機能の進化
カンファレンスのオープニングでは、今後のZabbixの方向性について、Zabbix LLCの創設者兼CEOであるAlexei Vladishev氏による講演がおこなわれました。

オープンソース監視ソリューションを提供する Zabbix LLCは、2025年に創立20周年を迎えました。南米や北米をはじめ、世界各地に拠点を展開しており、今後もグローバルネットワークの拡大を計画しています。
2025年10月には、フランス企業の買収とともにフランスに新拠点を開設。欧州での事業基盤を強化し、グローバル展開を加速させています。 Alexei Vladishev氏からは以下について説明がありました。
- Zabbix Cloudで広がる監視の可能性
- Zabbix 8.0の革新的機能と今後の取り組み
Zabbix Cloudで広がる監視の可能性
新たに発表された Zabbix Cloud は、オンプレミスでZabbixを利用した場合と比較して以下のメリットがあります。
- バックアップやZabbixソフトウェアのバージョンアップがZabbix Cloud側で自動実行され、ユーザー側で考慮が不要
- Zabbix Proxyの利用も可能で、分散環境でも効率的な監視が可能
Zabbix Cloudは昨年のZabbix Conference Japan 2024の登壇でも触れられていますが、メンテナンスが不要で高いレベルのセキュリティ機能を実現し、グローバルのZabbixユーザーに利用しやすいようにサービスが提供され続けています。
※Zabbix Cloudの開発、販売、サポートはZabbixラトビア本社による直接対応(英語)となり、日本国内でのサポートは現時点で予定されておりません。
Zabbix 8.0の革新的機能と今後の取り組み
最新バージョン Zabbix 8.0 は主に以下の新機能を予定しています。
- テレメトリーデータの収集と可視化
- Zabbixモバイルアプリケーション
- セキュリティと安定性の強化
- AIによるMCP作成:簡単な紐づけが可能
- CEP対応
- 管理画面のUI改善
- 障害クラス分類機能
- カスタマイズ可能なビュー(将来的に対応予定)
- データのシリアル化対応
Zabbixは監視ソリューションの高度化にむけて新たな機能を次々と追加しています。
まず、テレメトリーデータの収集により、サービスのボトルネックを特定し、速度やパフォーマンスをデータ化して原因分析を支援できるようになります。ただし、大量データ処理にはまだまだ改善の余地があります。
さらに、モバイルアプリの進化も注目ポイントです。
モバイルアプリを利用することで遠隔からZabbixを利用し障害の状況を一元管理できるだけでなく、コメントの追加や障害の緊急度変更も可能となり、現場での対応力が大きく向上します。また、Zabbixサーバーの情報を集めて表示したビューも搭載されており、複数の監視対象をまとめて把握することができます。iOS・Androidに対応し、リリースにむけての開発が進んでいます。
加えて、2026年にはZabbixマーケットプレイスの開設が予定されています。これにより、ユーザーはソリューションを公開・共有でき、さまざまな商材をダウンロード可能となるため、コミュニティの活性化が期待されます。
ダッシュボードコンテスト
昨年に引き続き、ダッシュボードコンテストが開催されました。今年は5名の参加者が、Zabbixの特徴を最大限に活かしたアイデアを披露し、会場を盛り上げました。
放送局の監視をより見やすく
放送局における監視の課題は「UIが難しい」「文字が小さい」こと。この課題を解決するため、機器ごとにブロック表示しトリガーアイコンで異常を直感的に把握できるように工夫されており、現場負担が大幅に軽減されたとのことです。
仮想基盤のスマート監視
VMwareからPROXMOXへ移行し、クラスタ監視をZabbixで実現。VMとCTの稼働状態を色分け表示し、ホスト情報を一括管理。複雑な環境を見やすく整理されていました。
スマートホームを一元管理
自宅インフラ監視をZabbixで構築され、SwitchBotと連携し、電池残量や湿度、天気などをWidgetに表示するような、家庭のIoT機器をまとめて管理する仕組みを実現されていました。
ペットの安全を守るZabbix
ペットのハムスターが暮らしやすい飼育環境を整えるため、Zabbix+Grafanaを組み合わせたダッシュボードを作成されました。室温・湿度をトリガー検知し、異常時はパトライトで通知する仕組みを導入。さらに、アプリを開かずにダッシュボードで確認できる便利さがあり、見逃しゼロの仕組みが印象的でした。
Zabbixですごろくゲーム
「監視をゲームに変える」というユニークな発想で注目を集めた事例です。障害イベントをクイズに見立て、正解するとマスを進めるすごろく形式のダッシュボードを披露しました。
今回もさまざまな工夫を凝らしたダッシュボードが披露され、Zabbixの柔軟性と創造性を示す機会となりました。業務改善からスマートホーム、ペット管理、そしてゲーム化までZabbixはさまざまなアイデアを柔軟に可視化するプラットフォームに進化していると感じています。
当日の講演紹介
カンファレンスではZabbix Japan LLCの講演以外にも、パートナー企業の講演や、Zabbixを利用するユーザーによる導入事例・活用事例などの講演もおこなわれました。特にAIとの融合とUIモジュールの進化、新たな業界におけるZabbix活用についての講演などもあったことが印象的でした。
Zabbixを用いたGPU基板の監視について
トヨタ自動車株式会社 梅津 拓海氏
Zabbixを用いたGPU基盤の監視について登壇されました。
交通事故ゼロ社会の実現に向けたAI開発を支えるGPU基盤の監視事例について講演されました。自動運転や危険予知AIなど高度な技術を支えるGPU基盤は、非常に高価で重要な役割を担っており、その安定運用が求められます。
今回の取り組みでは、Zabbixの「死活監視」と「リソース監視」を活用し、ジョブスケジューラーと連携して、設定したしきい値を超えた場合に、GPUサーバーOSに対して自動でシャットダウンをおこなう仕組みを構築しています。
工夫したポイント
- GPUサーバーの異常時に自動シャットダウン
- ジョブスケジューラーのログも監視対象に追加し、障害検知精度を向上
技術的な取り組み
- Zabbix7.2でNVIDIA GPU監視テンプレートを試験導入
- データセンター向けのメトリック取得は、GPUを用いてNVML APIを活用
今後はさらにZabbixを活用し、リソースの可視化はGrafanaで補完することで、より見やすい運用を目指されるそうです。
放送業界のIP化(Media over IP:MoIP)と汎用化へのアプローチ
朝日放送テレビ株式会社 上田 俊太郎氏
放送業界は従来のケーブル接続からIPネットワークを活用する「MoIP(Media Over IP)」への移行が注目されています。これにより、局外から局内への信号伝送や柔軟な運用が可能になり、放送設備のIP化に貢献します。
こうした新しいネットワークを安定して運用するため、Zabbixを導入。メディアネットワークや放送機器をリアルタイムで監視し、同期信号(PTP)のズレや障害をグラフで確認できる仕組みを構築されました。冗長化や通知設定により、トラブル時も迅速な対応が可能とのことです。
現場では、電源断などの障害は検知できますが、映像品質の監視は今後の課題です。Zabbixは少人数でも運用でき、デザインの自由度やサポート体制が評価されており、IP化と高度な監視で、より信頼性の高い放送を目指されていました。
当社のスポンサー講演
当社は本イベントのゴールドスポンサーとして、カンファレンス1日目に講演しました。
「Zabbixがあなたの『カラダとココロ』見守ります」というテーマで、私生活におけるZabbixの活用方法について登壇いたしました。

「みなさん、ストレスを感じていますか?」という問いかけからスタート。実は、68.3%の労働者がストレスを抱えているというデータがあります。こうした背景から、心身の健康を支える仕組みとして、Zabbixを活用するアイデアを提案しました。
今回紹介したのは、FitbitのAPIを利用してZabbixで睡眠関連データを取得する方法です。取得できる主な指標は以下の通りです。
- 睡眠効率
- 睡眠ステージ(浅い睡眠・深い睡眠・レム睡眠など)
- 安静時心拍数
- 心拍変動(HRV)
これらのデータをJSON形式で取得し、保存前処理をおこなって必要な情報を抽出・計算します。さらに、各睡眠ステージの割合を算出し、カレンダー形式で色分けして可視化することで、睡眠の質を一目で把握できるようにしました。
また、Zabbixの強みであるトリガー機能を活用し、前週の同じ曜日より睡眠の質が低ければ通知を発報する、という仕組みを構築。通知を受け取ったら「明日は早く帰ろう!」といった行動変容につながるのではないでしょうか。
※Fitbit…健康的なライフスタイルをサポートするための多機能デバイスであり、運動や睡眠、心拍数の管理を通じて、ユーザーの健康を促進します。
おわりに
Zabbix Conference Japan 2025の参加レポートは以上です。
Zabbix8.0の機能や今後の開発の方向性、ユーザー視点の事例、Zabbix活用事例の紹介をはじめとして、登壇者のZabbixの可能性に対する熱い思いを感じられるイベントでした。
Zabbix Conference Japanは、今後リリース予定のバージョンで搭載される新機能や活用・導入事例について情報収集できるだけでなく、「Zabbixを使ってみたい!」や「もっと使いこなしたい!」と思えるようなモチベーションアップにも非常に良い機会だと考えています。
当社も認定パートナー企業の1社として、引き続きZabbixの新機能とその活用方法をキャッチアップするとともに、多くのユーザーにZabbixを使いこなすためのお手伝いをしてまいりたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

株式会社アークシステムはZabbix Japan LLCの認定パートナー企業です。
Zabbixに関する製品・サービスの販売に加え、Zabbix関連サービスの提供をしています。
(2018年度からZabbix認定パートナー幹事企業の1社として活動しています。)
運用管理技術のプロフェッショナルであるアークシステムが
Zabbix環境におけるさまざまな課題を解決いたします
当社の価値はお客様のビジネスを支える高度なIT技術や運用基盤の提供にあります。
お客様の課題や問題意識を受け止め、IT戦略/企画の立案、実行性のある計画作成から運用整備とデリバリーまで、さまざまな形態のサービス提供をしています。これまで培った運用管理技術とZabbix技術の豊富なノウハウと実績をもとに、実運用に耐えうる高品質なZabbix環境の構築や課題解決をいたします。













