2023年11月16日(木)~17日(金)に開催されたZabbix Conference Japan 2023に、アークシステムはシルバースポンサーとして参加いたしました。今回で11回目の開催となったカンファレンスについてレポートいたします。

Zabbix Conference Japanとは?

Zabbix Conference Japanとは、Zabbix Japan LLCが主催する日本国内最大のZabbixイベントです。Zabbix Japan LLCのメンバーによるテクニカル講演、実際にZabbixを利用しているユーザーによる導入・活用事例、パートナー企業によるZabbixをより便利にするソリューション紹介など、Zabbixに関する幅広いテーマで講演がおこなわれます。

また昨年同様カンファレンスの直前Webセミナーとして、11月13日(月)~15日(水)の3日間にわたりZabbix Japan LLCやパートナー企業によるWebセミナー、オンライントレーニングが開催されました。Zabbixを使ったことがない方向けのZabbixの基本的な機能や最新動向や、Zabbixを利用中の方向けのさらなる活用方法など、Zabbixの利用有無、活用度合いにあわせてさまざまなWebセミナーが開催されました。

当日のアジェンダと講演内容は、Zabbix Conference Japan 2023の公式サイトでご覧いただけます。
https://www.zabbix.com/jp/events/conference_japan_2023(外部サイトへ移動します)

新たな進化を遂げるZabbix LTSと今後の方向性

カンファレンスのオープニングでは今後のZabbixの方向性について、Zabbix LCCの創設者兼CEOであるAlexei Vladishev氏による講演がおこなわれました。

Alexei Vladishev氏は約1時間の講演で、Zabbixは今後もオープンソースソフトウェアであり続け、拡張性について重要視していると語られました。また世界中には250社以上のパートナー企業があり、より拡販していくにはパートナー企業の力が不可欠というお話もあり、今後は大規模な監視を提供する傍ら、お客様の課題を解決するためにより小さな監視の提供や、付随してセキュリティやコンプライアンス領域への対応にも手を広げていくそうです。

また本講演ではリリースを間近に控えるZabbix 7.0 LTSの新機能についても紹介されました。
講演のなかで紹介された新機能の一部を紹介いたします。

  • Core widgetsの開発
  • レポートの拡充
  • 別リソースへ切り替えするためのナビゲーターの開発
  • データ処理/可視化/レポーティングの拡充
  • 利用者の運用コスト改善
  • プロセスベースからスレッドベースのアプリケーション移行
  • 必要に応じたスケールアップへの対応
  • 権限チェック処理の高速対応
  • データベースのメモリー機能追加
  • イベント相関モジュールの導入
  • Zabbix Proxyの高可用性実現/負荷分散の実装

上記の新機能を含めた最新のロードマップについては、Zabbix Japan LLCの公式サイトでご覧いただけます。
https://www.zabbix.com/jp/roadmap(外部サイトへ移動します)

パートナーとともに歩んだZabbix Japan LLC 10年間の振り返り

2012年にZabbix Japan LLCが設立され10年が経過し、次の10年に向けて大事なスタートダッシュの年となる2023年、Zabbix Japan LLCの中西氏により、パートナーとともに歩んできた歴史について振り返りがおこなわれました。

Zabbixは前述のAlexei Vladishev氏が1997年に独自でソースコードを書き始め、2001年に現在のZabbixのベースとなるZabbix 1.0を開発しました。その後2005年にZabbix LLCが設立され、現Zabbix Japan LLC代表の寺島広大氏が2011年にラトビアのZabbix LLCに勤務し、2012年にZabbix Japan LCCが設立されました。Zabbix Japan LLC設立後、当社も発足当初から参加しているZabbixパートナー会が発足され、現在では60社近いパートナー企業が参加するコミュニティとなりました。

中西氏は最後に今後の活動についても言及し、パートナー企業とともに今後のZabbixの普及にコミットすると仰っていました。

事例講演の紹介

カンファレンスでは、Zabbix Japan LLCメンバーの講演以外にも、パートナー企業の講演や、実際にZabbixを利用するユーザーによる導入事例・活用事例などの講演もありました。

KDDI版Zabbix導入による監視標準化に向けた取り組み

KDDI株式会社 神谷 太郎氏

KDDI株式会社の神谷氏から、KDDIのサーバー監視標準の取り組みについて紹介されました。

設備によって異なる監視をしている環境に対し、監視要件の明確化や具体化、監視ソフトの乱立を改善することにより、監視品質を保持しながら監視コストの削減を実現されました。現在では利用拡大に向けた仕組みづくりにも着手されているとのことで、社内のさまざまな部門からZabbixに対する問い合わせを受け付けることに加え、社内勉強会の実施やメンバーの認定資格取得にも取り組んでいるそうです。

今後はサーバー以外の設備に対するZabbixの利用拡大やベースライン監視の標準化、機械学習の標準化にも取り組んでいくとのことです。

サーバー1,000台の高度な監視を、JP1とZabbixのいいとこ取りで実現!

株式会社オプテージ 妙中 哲平氏 / 平山 勇氏

株式会社オプテージの妙中氏、平山氏よりサーバー約1,000台規模のシステム監視とリソース情報の可視化、運用負荷やコストの削減という課題を、JP1とZabbixを併用することで解決した事例が紹介されました。

約1,000台分の監視に必要なライセンスや保守のコスト、機能の使いやすさなどを踏まえ、JP1からZabbixへのリプレースを検討し、さらにパートナー企業が提供しているZabbixとJP1の連携ソリューションを活用することで、高度な監視要件の対応、監視における課題解決を実現されました。またテンプレートを利用することによる監視設定の簡略化や、監視抑止・抑止解除をZabbix APIを利用することにより実現したことが説明されました。

今後はZabbixをさらに活用し、提供機能を拡充していくと同時に、サーバーリソースの最適化の促進を図るとのことです。

当社のスポンサー講演

当社は本イベントのシルバースポンサーとして、カンファレンス2日目の夕方に講演しました。
「ZabbixでかんたんHEMS おうちの電気代、Zabbixで節約しよう」と題して、私生活にZabbixを取り入れた活用方法について紹介しました。

自宅の通信機能付きメーターから宅内のHEMS機器へ電気使用量を送付し、HEMS機器よりAPIを利用してZabbixで消費電力や電気料金を取得する方法を紹介しました。消費電力や電気料金以外にも、Zabbixを活用することで瞬時電力計測値や積算電力計測位置(正方向/逆方向)のような値も取得できます。

これから本格的に冬を迎えるにあたり、暖房やストーブなど暖房器具の利用が増えてくると思います。電気代の高騰が気になる昨今、ぜひ皆様のご家庭でもZabbixを活用して電気使用量を図ってみてはいかがでしょうか。

おわりに

Zabbix Conference Japan 2023の参加レポートは以上です。Zabbixの機能ロードマップやZabbix Japan LLCの今後方向性、ユーザー視点の事例、各パートナーのZabbix活用方法紹介など、さまざまなコンテンツが紹介され、充実した内容のイベントでした。

Zabbixカンファレンスは、今後リリース予定のバージョンで搭載される新機能や活用・導入事例について情報収集できるだけでなく、「Zabbixを使ってみたい!」や「もっと使いこなしたい!」と思えるようなモチベーションアップにも非常に良い機会だと考えています。

当社も認定パートナー企業の1社として、これからもZabbixの活用をキャッチアップするとともに、多くのユーザーの皆様がZabbixを便利に利用するためのお手伝いをしてまいりたいと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。


株式会社アークシステムはZabbix Japan LLCの認定パートナー企業です。
Zabbixに関する製品・サービスの販売に加え、Zabbix関連サービスの提供をしています。
(2018年度からZabbix認定パートナー幹事企業の1社として活動しています。)

運用管理技術のプロフェッショナルであるアークシステムが
Zabbix環境におけるさまざまな課題を解決いたします

当社の価値はお客様のビジネスを支える高度なIT技術や運用基盤の提供にあります。
お客様の課題や問題意識を受け止め、IT戦略/企画の立案、実行性のある計画作成から運用整備とデリバリーまで、さまざまな形態のサービス提供をしています。これまで培った運用管理技術とZabbix技術の豊富なノウハウと実績をもとに、実運用に耐えうる高品質なZabbix環境の構築や課題解決をいたします。